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zoom RSS ヒールレスネックジョイントと“13フレットのオルゴール”

<<   作成日時 : 2015/05/25 00:02   >>

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 西村歩さんのアコースティックギターライヴで、“♪13フレットのオルゴール”という曲の説明のときに西村さんがネックジョイントの方法について少しふれた。
 今回は、そのことに関連して少し書いておこう。

 この“♪13フレットのオルゴール”は、“♪また逢えるその日まで”とともにとても気に入った曲ではあったが、実は、13フレットcapoで弾いたことは一度もない。

 13フレットにcapoできるギターを持っていないのだ。

 このことは、既に以前のブログ『“13フレットのオルゴール” 13カポができない!! 』でも取り上げている。

 そのときの写真を再掲しておこう。
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ドレッドはもちろん、カッタウェイでボディすらないYAMAHAのサイレントギターでさえ
ネックヒールの形状から13フレットにcapoはできない。
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この上下の写真のように13フレットにcapoできるためには、
ヒールレスネックジョイントでなければならないのだ。
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 ソロギターをやる方たちの多くが当たり前のようにカッタウェイのギターを求めたがるが、そこまでハイポジションのフレットを使う曲を弾かれる方が何人いるのだろうと思ってきた。

 ところが、この“♪13フレットのオルゴール”という曲は、普通のカッタウェイでもネックヒール形状から13フレットcapoでの演奏はできないのだ。

 この曲を知ってからは、楽器店等でカッタウェイのギターを見るときは、必ず癖のようにネックヒールの形状を見るようになった。

 さて、西村さんのライブのとき、capoは黒いNS CAPOを使用されていた。
 曲によってcapoの位置を変えるのだが、その都度チューニングにはそれほど手間を要していない。
 おそらく、ギターの指板と押さえるcapoの形状があっていて、各弦間で狂いが生じにくいのだろう。
 (自分ギターとcapoの場合、開放でチューニングしていても、capoをしたらけっこうチューニングをし直さなくてなならない)

 “♪13フレットのオルゴール”という曲も、西村さんが、最初にそうやってどこまでcapoできるんだろうとやってみたら13フレットまでcapoができ、このときの音が他の位置のときとは違い独特で面白いと思ったことからできた曲だという。

 確かに、普通のギターでは演奏上7フレット、カッタウェイのサイレントでも最高11フレットのcapoで練習してみるのだが、表現力の違い等はこの際無視しても、あの独特の感じは出ないのだ。

 ライブのとき西村さんは、普通のギターはボディを箱のように作ってからネックとジョイントさせるが、このギターは製造工程から違うと話されていたので、ネックのジョイントと製造工程について、改めて調べてみた。

 SUGITA KENJI Acousutic GuitarsのCarreraシリーズの説明の中に、ヒールレスネックジョイント、ベヴェルドカッタウェイ等の用語が出てくるが、同サイトのBiographyの中に、『高校卒業後、6年間茶位幸信氏の下でクラシックギター、ヴァイオリン等の製作を学ぶ。1990独立、屋号をSUGI CRAFTとしてスタートする。アコースティックギターを専門に製作活動を開始するも製作家としてきっかけがつかめないまま月日が過ぎる。
1998頃ネックジョイントをスパニッシュ工法にする等クラシックギター製作からのアプローチを試みた事が注目され始め後に中川イサト氏、伍々慧氏などが使い始めるようになった。』
という記述が見られた。

 この「ネックジョイントのスパニッシュ工法」「クラシックギター製作」にかかわっていくつか調べてみると、『Antonio de Torres への道』ということで書かれている方がいて、「La Leona モデルの製作の実際」として説明されているのがわかりやすかった。
 何枚か写真を転載させていただこう。
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加工したネック、表面板、横板を組み合わせる。ネックとボディーのジョイントはスペイン式と呼ばれるネックのヒールエンドに溝を切りそこに横板をはめ込む方式である。ト−レスのこの時期の作品は横板と表面板の接着に単体ブロックでなく、ノコ目を入れた薄いライニングを使用している。
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型に入れ組み合わせ後、裏板のトランスバーを横板に接着。だんだんギターの形になってくる。  
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裏板を接着するため裏板接着用の型に載せる。
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ライニング、バスバーに膠をつけ裏板を素早く載せヒモで型に縛り付け固定する。 

 確かに、普通のアコースティックギターのボディの箱を作っておいてネックとジョイントさせる方式とは異なり、スパニッシュ式では、ネックヒール部がボディ内部に貫く形で入り込み、裏板は最後に接着されている。 

 SUGITA KENJI Acoustic GuitarsのBlogにも、こんな写真がupされている。
画像
ネックにトップ板だけの薄っぺらいギター?
これにサイドをつけると、下のようになると思われる。
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裏板はないのに、トップ・サイド・ネックは既に組まれている。

 こういう工法の違いがあって初めて“♪13フレットのオルゴール”という曲もできたのだなあと考えさせられた。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
なるほど、最近は色々な工夫がしてあるのでネックジョイントも調べると面白そうですね。
カーボンブレーシングのギターだったらネックジョイントが普通じゃないかも?
僕も調べて見ます。
青井草
2015/05/26 08:46
>青井草さん
 杉田健司氏は、トラスロッドにも、ベータチタニュウムという強度と耐食性のあるチタン合金のものを使用しているようです。バネ性があり、また叩いてみると澄んだ綺麗な音がするそうですが、重さが普通のトラスロッドの1/4と軽量で、ギターの重量バランスに大きな影響を与えていて、ネックをどのように加工するかで、大変興味深い結果が得られると思うが、これからもこのあたりを考察したいと書かれています。他と異なることに挑戦している研究熱心なルシアーさんだと思います。
Pinebridge
2015/05/26 09:06
ご無沙汰しておりました。

西村さんのギター 杉田さんの思いの詰まったギターですね
私もなどか弾かせてもらったことがありました。

演奏性を高めた低めのセッティングひき易いです
かの演奏のための設定なのでしょうね。

西村さんの演奏会もとても素敵だったとのこと
また西村さんの人柄も本当に素敵だと思います。

あの人にこのギター 
ぴったりなのかもしれないなぁと思うのでした。
ササン
2015/06/02 15:09
>ササンさん
 やっと復活したんですね。よかった、よかった。

 奈良のササンさんというだけで、西村さんがササンさんをご存じだったのには驚き、さすがだなあと思いました。

 西村さんの弦高は本当に低くセッティングされていましたね。
Pinebridge
2015/06/02 17:02
サイレンとギターのネックを思い切って削りましょう!上手にね!
あきらまん
2015/06/13 18:17
>あきらまんさん
 そ、そっ、そんな御無体な・・・(;_;)
Pinebridge
2015/06/13 19:34

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